中国要注意食品リスト (2007年8月7日作成)

解題
 最近立て続けに中国の食品安全問題に関するメディアの取材を受けた。アメリカで"China Free"(中国製材料を使っていない)健康食品が発売されたというニュースを機に、日本のメディアは「中国食品追放キャンペーン」を繰り広げているかのようである。取材に来た某雑誌記者によると「中国食品は危ない」と書くとよく売れるそうで、そのため、かなり事実誤認の情報も広く流布されている。それらの元ネタはだいたいが中国での報道なのだが、生半可な知識で読んだ人が誤解して、誤りが日本で流布されているケースがある。以下は某TV局の取材に応じて、私が食品安全問題に関する中国の報道を読んでまとめたものである。なお、先日の「段ボール肉まん事件」のように中国での報道自体が捏造であったという場合には、私としても検証のすべはないことをあらかじめお断りしておく。
 なお、何をもって危ないとするかは各国の基準や人々の価値観によって異なることなので、中国で問題になっていることが日本で必ずしも問題だとは限らないし、逆に日本で安全とされている食品が中国の基準をパスしないこともあるだろう。タバコの箱に"Fumer tue"(喫煙は殺す)とデカデカと書かないとタバコを売ってはいけないフランスからすれば、日本では危険なタバコが野放しにされていると映るだろう。
 日本が中国から輸入している食品については、輸入業者が日本の基準に合致するように指導しているはずである。(と思うけど、しっかり検査してくださいね。)以下に列挙する問題が輸入食品にも当てはまるわけではない。あくまでこれは中国国内で起きていることなので、まずは中国に旅行ときの注意として読んで欲しい。

豚肉
・母豚の肉をイノシシ肉と称して販売した。(一般に子豚を産み終えた母豚は肉質が悪く一般の豚肉の半額以下にしかならない)
・母豚肉を一般の豚肉として販売した。
・病死した豚の肉を羊肉と称して販売した。
・豚肉に食紅を加えて牛肉として販売した。
・病死した豚の肉を犬肉と称して販売。
・母豚の肉に生殖器をつけて、値段の高いオス豚として販売した。
・生きている豚に水を強制的に飲ませ、1頭あたり10㎏ほど「水増し」した。
 ひとこと:「羊頭狗肉」ならぬ、「狗頭病豚肉」


・アメリカの遺伝子操作された米によって、中国の米が遺伝子汚染された。
・湖南省で基準を超える量の重金属(水銀、カドミウム、鉛など)を含んだ米、野菜が見つかる。
 ひとこと:なお中国での報道によれば日本でもカドミウムが基準量を超えた米が見つかったという。


食塩
・中国の多くの地方では土地に含まれるヨードが不足しており、その結果甲状腺の疾患や知能障害などが起きている。そこで政府は1995年から食塩にヨードを入れることを義務づける法律を施行した。ところが、ヨードの入っていない密造の塩や、工業用の塩化ナトリウムを、正規の食塩(つまりヨード入りの)として売るケースが問題になっている。
 ひとこと:一部で亜硝酸塩を食塩と称して売っていると誤解している人もいるようだが、亜硝酸塩は食塩より高価であり、そうする理由はない。亜硝酸塩が混じった工業用塩を食塩として供して死者が出た例はあるようだ。

醤油
・醤油には一定量のアミノ酸を含むという基準があるが、品質の悪い醤油、つまり塩水に近いものにはアミノ酸が足りない。そこで、理髪店から毛髪を集めて製造されたアミノ酸を混ぜる例があるという。

牛乳
・牛乳のニセ物はいっぱいあるようで、牛乳1に対して水2を混ぜ、糖分や添加物で味をつけるのが一般的。さらに、牛の尿を混ぜるケースや全く牛乳を用いずに水に添加物や糖分を加えて作る等の作り方がある。それではタンパク質が含まれないので、革靴、皮衣料、皮のバッグなど皮製品を化学処理してタンパク質をとりだし、タンパク質入りの偽牛乳を作るとのこと。



・「五糧液」「茅台酒」などの銘酒には、回収した瓶に安い一般の白酒を入れて偽装したものが昔から相当出回っていた。何しろ安い白酒は2,3元、ブランドの酒は300元にもなるのだからニセ物がでようと言うものである。銘酒メーカーでは瓶に様々なニセ物対策を施している。
 ひとこと:中国でこれらの酒が飲まれる場面(宴会で一気のみ)を想像すると、実際には中身はとにかく酒であればなんでもいいのかもしれない。まれにメチルアルコールで命を落とす人もいるので要注意である。

ラード
・浙江省台州市のあるラード工場は、廃棄された食用油と、豚皮の加工に使われた工業用油をもとに「ラード」を製造していたという。酸化した油は体に有害なので、油には注意する必要がある。

肉まん
・・段ボール肉まん事件は捏造だったことが判明したが、病死した豚の肉や古い豚肉を利用することはありうる。私は横浜中華街で臭くて食べられない肉まんを つかまされたことがある。


 水道水
・水道水に虫が混入する事件は各地で割と頻繁に起きている。いずれにしても、中国では生水を飲まず、煮沸したものを飲む。

 ミネラルウォーター
 ・水道水を詰めたもの等がある。もっともこの問題は中国に限らないのではないか? 世界中に水を輸出できるほど水量豊富な「鉱泉」など本当にあるのかいな?

 ワイン
 ・安価なワインの作り方は以下のごとし。水1に対してブドウジュース1を混ぜ、そこにアルコールを入れ、香料や添加剤を加える。
 ひとこと:日本にもこれによく似た作り方の酒はいっぱいある。


 スイカ
・スイカの中に農家が赤いインクを注入し、いっそう赤く見せた。

 食品ではないが、中国で外食するときも用心は必要だ:
 
 爪楊枝
・使用済みを回収して再利用する店がある。

 割り箸
・ 割り箸を製造する過程で、漂白の時に使う薬品、防かびのための農薬、乾燥の時に使うタルク粉、艶付けに使われるワックスなどそれぞれ人体に対して何らかの害がある。
 ひとこと:この際、中国から割り箸を輸入するのをやめたらどうだろうか。中国が割り箸を輸出することは、中国のただでさえ貴重な森林を破壊し、中国にとっても良いことがないのだ。

 レストランででる紙ナプキン
 ・蛍光剤、漂白剤が使用されているほか、古紙を使って作っていて大腸菌などの細菌が残っている例もある。

 土鍋
 ・土鍋に使われている釉薬には少量の鉛が含まれているので、新しい土鍋を使うときは酢の入った水に浸してしばらく沸騰させるのが よい。内側に釉薬が塗られた鍋には酒や酸性のものは入れない方がよい。